最高裁判所第一小法廷 平成1(さ)1 判決
主 文
原略式命令を破棄する。
本件公訴を棄却する。
理 由
記録によると、小倉簡易裁判所は、昭和六三年一〇月一一日公訴を提起されたA
に対する道路交通法違反被告事件について、同月一三日、「被告人は、昭和六三年
一月一四日午前七時五三分ころ、道路標識により規制対象除外車両以外の車両の通
行が禁止されている福岡県北九州市a区bc丁目d番B小学校付近道路において、
過失により道路標識に気付かないで、規制対象除外車両でない普通乗用自動車を運
転して通行したものである。」との事実を認定したうえ、道路交通法八条一項、四
条一項、一一九条一項一号の二、二項、同法施行令一条の二、刑法一八条、罰金等
臨時措置法二条、刑訴法三四八条を適用して、「被告人を罰金七〇〇〇円に処する。
これを完納することができないときは金二〇〇〇円を一日に換算した期間(端数は
これを一日に換算する。)被告人を労役場に留置する。第一項の金額を仮に納付す
ることを命ずる。」との略式命令を発付し、右略式命令は、昭和六三年一一月一〇
日確定したこと、ところが、これより先の同年二月二四日に被告人は右と同一の事
実に基づき交通反則通告書により反則金七〇〇〇円を納付すべき旨の通告を受け、
その納付期限内である同月二六日に右反則金を納付していることが認められる。
そうすると、右公訴事実については道路交通法一二八条二項により公訴提起が許
されないのであるから、公訴提起を受けた小倉簡易裁判所としては、刑訴法四六三
条一項に従い、事件を通常の手続に移したうえ、同法三三八条四号により公訴棄却
の判決をすべきであつたにもかかわらず、右公訴事実につき有罪を認定して略式命
令を発したものであつて、右略式命令は法令に違反し、かつ、被告人のために不利
益であることは明らかである。
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よつて、本件非常上告は理由があるから、刑訴法四五八条一号但書により、右略
式命令を破棄し、同法三三八条四号により本件公訴を棄却することとし、裁判官全
員一致の意見で、主文のとおり判決する。
検察官関場大資 公判出席
平成元年四月二〇日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 四 ツ 谷 巖
裁判官 角 田 禮 次 郎
裁判官 大 内 恒 夫
裁判官 佐 藤 哲 郎
裁判官 大 堀 誠 一
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